Signal Integrity Journal に掲載されている記事 “Using Ultra-Broadband Baluns to Perform Differential S-Parameter Measurements Using Single-Ended 2-Port VNA” の要約です。主要点として、使われているバラン(Balun)のメーカーとスペック、差動 S-パラメータと普通の S-パラメータの違い、バラン測定の利点と欠点を整理しています。
1) 記事の概要
超広帯域バラン(ultra-broadband baluns)を用いることで、2ポート VNA で差動測定を実現する安価な代替方法を示しています。
2) 使われている Balun(メーカー・型番・周波数帯域)
- 記事で使用されているバランは HYPERLABS 社の HL9407 モデルです。
- -3 dB 帯域幅は約 500 kHz 〜 67 GHz とされており、非常に広帯域な設計です。
- このバランはバランス出力の位相・振幅マッチングが良好で、差動測定にも対応可能な特性を持っています。
- 実測セットアップでは、バラン出力に 10 dB のアッテネータ(HYPERLABS HL9427-10)を組み合わせています。
3) Balun を使う測定のメリット
(a) コスト削減
(b) 幅広い帯域測定
(c) 標準的 2ポート VNA の有効利用
4) Balun を使う測定のデメリット
(a) 測定可能なパラメータが限定
- モード変換(mode conversion)などのパラメータは得られない。
4ポート系ではmixed-mode Sパラメータが得られます。
(b) バラン特性の影響
- バラン自体の誤差(位相ずれ・振幅不一致・損失など)が 測定誤差源になる可能性。
(c) 独自のキャリブレーションが必要
- 2ポート VNA で差動測定を実現するため、独自のキャリブレーション手順や補正が必要であり、標準的な 4ポート系とは異なるプロセスが伴います。
5) 測定例
- 差動アンプ DUT を測定して結果比較。
- HYPERLABS HL9407 バラン+ 10 dB アッテネータを用いた測定結果は、
4ポート VNA でのデータと 40 GHz 付近まで整合性良く一致している。 - ただしノイズやケーブルの影響などはあり、測定系の取り扱いに注意が必要とされています。



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